さる11月12日土曜日、中学時代からの友人であるH君の結婚式に参列してきました。
前日までの激しい雨が去って、朝から晴れ晴れとした空の下、鶴岡八幡宮舞殿での婚礼の儀が厳かに執り行われました。






場所を移して、老舗レストラン<鎌倉山>での披露宴の冒頭、彼の叔父さんにあたる方が、一遍の詩を読まれました。
「その人の目を見ると、嘘が言えなくなる、ごまかすことができなくなる、そういう人を一人持つといい。
(中略)、人生でそういう人をたった一人でよいから持つといい」 どうかお二人がお互いにそういう人であってほしいと結ばれた祝辞は、実にH君と奥様にはふさわしいものでした。



H君は常に真を志すがゆえに、他人に少々厳しく、自分には恐ろしく厳しいところがありました。
快活なサッカー少年であり、情熱的なバイオリン弾きだった彼が、思春期の後半から一転して堅物のように思われてしまったのには、自分を統御しようとする厳しさが常に外見にまで滲んでしまっていたからかもしれません。しかし、彼の志の深さとそれに向かっていく凛々しさに幾度となくこちらの心も高ぶり、励まされてきたように思います。
われわれの高校時代の恩師は、こうした彼の歩みを音楽にたとえて、天真爛漫な少年期を第一楽章、厳格な修道僧のごとき第二楽章を今ようやく無事に弾き終えて、これから始まる第三楽章は豊かさや楽しさをもっと奏でてほしいと祝辞の中で彼に語りかけていましたが、それは彼を身近に知る参列者の気持ちをシンプルに代弁して下さったのだと思います。
全編和装で通したのは、奥様の趣向でもあったのでしょうが、和やかさの中にも一本の筋が通ってすがすがしいものでした。ともかくも、H君らしいよき伴侶、よき家族、よき仲間に囲まれた中での、心に残る婚礼でした。
おめでとうございます。
もちろん、これからも宜しくお願い致します。